T-MBはシャープでアスリートライクな形状で非常に構えやすく、しかもマッスルバックな見た目に反してミスに優しく楽に高弾道が打てるアイアンです。
GDのHOT LISTでゴールドを受賞した実力は本物、タイトリストの意欲作と言って良いでしょう。
試打クラブ スペック
ロフト:33°(7番) シャフト:N.S.PRO ZEROS 8
長さ:37inch シャフト重量:87.5g(カタログ値)
クラブ推定重量:402g前後
●構えた印象
構えるとまずヘッドの小ささがまず目に入ります。
セミアスリートモデルに比べれば小顔で、アスリートライクなシャープさを持っています。
ただし純マッスルバックに比べわずかに大きめ、トップラインも若干厚みがあり、わずかに安心感も備えるという絶妙なバランスの形状です。
ネック形状はほぼストレート、所有するAP2 712と比べても明らかにグースが抑えられ大変構え易い形状です。
マッスルバックやキャビティバック以外でここまでストレートなのは最近では珍しく、シャープさと構え易さにこだわったモデルであることがわかります。
●試打開始
打ってみると超高弾道が楽に出るのに驚きです。
シビアで芯で捉える技術がないと扱えないように見えるヘッド形状ですが、芯は大変広く中級者からでも全く問題なくボールを上げることができます。
さらに中空構造クラブにありがちな捕まりすぎもなく、しっかり振っていけるのも個人的には好印象です。
これまでも中空アイアンは何度か打ちましたが一部を除きフェースが面長で、ボールを捉えようとしてもヘッドが返しにくいものがほとんどでした。
またグースのきついモデルも多く、構えにくいだけでなく突然フックが出てしまうことがありましたが、このT-MBはそのような心配はなさそうです。
試打中には若干ドロー気味のボールもありましたが、これは私の持ち球によるところと後でお伝えするシャフトの影響と思われ、クラブ自体は素直なストレート弾道のキャラクターと言って良いでしょう。
●ミスへの寛容性は
この小さなヘッドから考えられないほど芯が広い上に直進性も高く、非常に優しいアイアンに仕上がっています。
特に上下方向のミスには大変強く、多少ずれてもしっかり高弾道になるのは中空構造ならではでしょう。
一方では左右のズレに対しては若干シビアさが残っており、これはこのクラブを手にするプレイヤーのレベルを考え、最低限の操作性を残しておきたいというタイトリストの意図が垣間見えます。
いくら優しいと言っても、フェースのどこへ当たっても真っ直ぐ飛んでいくほどではありませんので、初心者の方はもう少し経験を積んでからトライした方が安全です。
●打感と音
打感は中空らしい軽く弾き感のあるものですが、一部の飛距離追求モデルにあるようなフェースの薄さが安っぽさを感じさせてしまうようなものではありません。
一方でちょっと残念だったのがペシッという軽めな打音。
これも中空らしいと言えばそれまでですが、もとの値段を考えるともうひと頑張りして欲しかったところ。
使ううちに慣れる範疇だとは思いますが、打音にこだわる方は試打で確かめた方が良さそうです。
●シャフト
シャフトは日本シャフトのN.S.PRO ZEROS8で初めて振りました。
同じ日本シャフトのド定番、N.S.PRO 950より約10g軽量ですが、感じた違いは重量よりその柔らかさと調子です。
トルクがある上に先調子なので走り感があり、強く振りにいくと若干コントロールしにくくなります。
ゆったりボディーターンで大きく振り、しなり戻りにタイミングが合わせられる人にこのZEROS8はマッチしそうです。
一方でより安定感を求める方や90g台のシャフトをしっかり振れる方なら、ヘッドが十分にボールを上げてくれてるので、N.S.PRO950の方がお勧めです。
●総評
コンパクトヘッドが好みで構えやすいけど、実戦でマッスルバックを使うのは厳しい、というレベルアップ途上の中級者にお勧めのアイアンです。
これでシャープなヘッドに慣れて実戦経験を積んだら、キャビティバックへステップアップというのがタイトリストの狙いだと思いますが、それに乗せられてみる価値は十分にあります。
またマッスルバックがちょっと厳しくなってきた方、普段はマッスルだけど冬場や久しぶりのラウンドはもう少し楽にプレーしたい、という方にもお勧めです。
タイトリストがしっかりコストをかけています(定価174,960円!)からクラブとしての完成度は高く、発売当時に識者の評価が一様に良かったのもうなずけます。
現在はだいぶ手頃にななっていますので、金額で購入をあきらめた方もぜひトライしてみて下さい。
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タイトリスト T-MB 716 アイアン