i210は渋野日向子選手の全英制覇に貢献したアイアンです。
ヘッドはコンパクトながらボールは上がりやすく、それでいて操作性は必要十分。
ミスを極力減らし直線的に攻め、必要とあらばコントロールするという、PINGらしい実戦的アイアンの回答がここにあります。
試打クラブ スペック
ロフト:33°(7番) シャフト:MODUS3 TOUR 105
重量:408g 長さ:37inch (カタログ値)
●構えた印象
構える前はフェースのコンパクトさに反してワイドなソールが目に付き、イージー感のあるルックスかな?と思いました。
しかしいざ構えてみると、さすがプロも使うアイアンらしく小ぶりなヘッドで、しっかりとシャープな顔つきです。
ネックはわずかですが、AP2などと比べるとはっきりわかるグースがあります。
捕まりが欲しい方には安心感のある部分ですが、i20から続くぎりぎり気なるかどうか瀬戸際のグースです。
ほとんど気にならないというレビューも多いですが、グースにアレルギー級の苦手意識がある方は一度構えることをお勧めします。
逆にしっかりした捕まりを求めたい方にとっては、小ぶりのヘッドと相まって非常に安心感の高いルックスと言えるでしょう。
●試打開始
打ってみるとまずはその弾道の高さに驚かされます。
ヘッドサイズやプロも使うことから、ある程度シビアさを予想していましたが全くそのようなことはなく、むしろボールの上がりやすさは初〜中級クラスターゲットのアイアンと見間違う高弾道です。
ここ最近の中上級者向けアイアンは、操作性はある程度維持しつつボールは高弾道というのが一つの傾向のようで、一昔前のようにしっかり捕まえ打ち込まないと上がらない、ということがありません。
このi210も同様にボールを上げるという点では非常にイージーで、ポケキャビ効果と言えば確かにそうなのですが、一方で左右の操作性も十分にあるのが今流です。
その上がりやすさのためにグースも付けられているのでしょうが、感心したのは決して捕まりすぎることがない、というバランスの良さです。
PINGに限らずグースのあるアイアンは、突然捕まりすぎのフックが飛び出すことがあり、特にフッカーの方の中には恐怖症をお持ちの方もいるでしょう。
しかしこのi210は極端な捕まりすぎがなく、安心して振り抜くことができます。
この辺りはアスリートもしっかりターゲットにしている、決して優しさを前面に出したアイアンではないことを物語っています。
●ミスへの寛容性
渋野選手の他にも2019年の女子ツアーで、比嘉真美子選手や鈴木愛選手が使って優勝していますから、操作性はしっかり高く、意図した方向へ打ち分けが十分に可能です。
ただ自由自在に左右高低を自在に打ち分け、時にはインテンショナルショットも、というレベルはiブレードアイアンにゆずっており、今時のリスクに繋がる操作は最小限にして、ミスを減らしながら直線的に攻めていく、というゴルフの流れに真ん中のアイアンです。
ただ最小限の操作性と言ってもプロレベルの話しですから、我々アマチュアにすれば十分過ぎるものです。
そこへミスを適度にフォローする優しさがあるので、ラウンドで腕を磨きつつスコアに繋げられる懐の深いアイアンになっています。
●打感と音
PINGのiシリーズで特筆すべきはステンレスヘッドらしからぬ非常に柔らかい打感で、今回のi210でもしっかりと継承されています。
前作i200より30%大きく50%柔らかくなった、バックフェースのエストラマーCTPがさらに効果を発揮しているようです。
純フォージドとは違う柔らかさですが、これも十分に気持ちの良い打感であり、しかもボールがフェースに乗るのが感じられ、操作性アップにも大きく貢献しています。
短く小さめなパシュッという音との相乗効果で、打つのが楽しくなるのはもちろん品の良さも感じる、優れたフィーリングを持ったアイアンに仕上がっています。
●シャフト
シャフトはMODUS3 TOUR 105で、DGでは重すぎ、N.Sの950ではちょっと物足りない、という方に丁度よい重量のシャフトです。
しかも手元調子なので軽量シャフトに多い先の走る感じが少なく、慣れると非常に弾道が安定します。
DGの振り心地は好きなんだけど、ラウンドとなるとしんどい、という方にお勧めしたいですね。
ただ全体的にしっかり感のあるシャフトなので、ボールを上げてくれるi210では高弾道ですが、例えばAP2のようなもう少し打ち込みが必要なヘッドだとどうなるか、非常に興味が湧きます。
いずれにせよヘッドスピード40m/sくらいで、手元調子が好みの方には非常にお勧め、というかこれ一択でぜひ試して欲しいシャフトです。
●総評
小ぶりでシャープなルックスなのに高弾道で、しかも操作性も十分にあるという、今の中上級者向けアイアンの流れのど真ん中を行くアイアンです。
しかし考えてみるとPINGのiシリーズは昔からそうだったので、流行に合わせたのではなく正常進化したと言った方が良いでしょう。
またPINGの高い技術力による秀逸な打感も、ぜひ多くの方に味わって頂きたいポイントです。
このi210は、セミアスリート向けの操作性のあるシャープなアイアンが好きなので使ってみたが、どうもボールが上がりにくい、というプレーヤーの方に特におススメです。
ぜひその高弾道を操りながら、グリーンを気持ちよく捉えて下さい。
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