他社にありがちなきついグースの構えにくさがないVG3は、飛距離性能が高いだけでなく安定してしっかりと距離を刻める実戦的なアイアンです。
特に下目に芯が広くトップ気味のミスでスコアを損している方に特にお勧めです。
試打クラブ スペック
ロフト:26°(6番) シャフト:N.S.PRO 950GH
重量:401g 長さ:37.5inch (カタログ値)
●構えてみると
構えると大きめなヘッドがまず目に入り、芯で捉えることが不安定な方にとっては安心感がある形状です。
さらにトップラインも厚めなので、多少芯を外しても前に押し出していけるイメージが湧きます。
手に取って眺めた時はグースがきついかな?と思いましたが、構えると極端には感じません。
この辺りはエントリー層やシニア層であってもあくまでプレーヤーをアスリートとして捉えているタイトリストのこだわりでしょう。
形状からは初心者だけでなく、中級者で右へのミスが多いという方、グースは苦手という方にまで幅広くおススメです。
●試打開始
今回の試打ではあえて6番(26度)とアスリートモデルの5番相当を選んでおり、ヘッドスピード40m/s未満だとボールが上がり切らない恐れがあったのですが、深重心のおかげでしっかり高弾道です。
しかもロースピンの棒球かつ高初速で飛び出すのが見た目でわかる、かなり飛距離が期待できそうなアイアンです。
HS40m/sの私が1月の寒空で練習場ボールを打って、キャリーで155〜160ヤードと、ローヘッドスピーダーでも飛距離性能は高いと言って良いでしょう。
一方方向性は若干捕まりが良いかなと初めは感じましたが、慣れると楽に真っ直ぐに打ち出せます。
素直にまっすぐに安定して打ち出し、コースなりに攻めていきたいという方にピッタリの直進性です。
●ミスへの寛容性は
大きめヘッドのおかげでスイートスポットは広く、多少のズレを物ともせず真っ直ぐ飛んでくれて、しかも高低がズレないのが非常に実戦的に感じました。
通常こういった高弾道かつロースピンモデルは、打点が下にズレると極端に低弾道になり、ランが予想以上に出てしまうことがあります。
これはグリーンで止めたい時やハザードを避けたい時などは致命傷になりかねません。
しかしこのVG3は芯の下目に対するずれに強くボールの高低が安定しています。
逆にコントロールはしにくいのですが、それを求めるとこの安定感は失われてしまいますし、そのような細かな打ち分けはAPシリーズでやるべきでしょう。
このVG3はミスを防ぎながら距離をきちんと刻めるという、目立ちませんがスコアに直結する寛容性を持っています。
●打感と音
打感はフォージドらしい柔らかさは若干ありますが、どちらかと言うと硬めで弾き感もあり、純粋な軟鉄鍛造とはかなり違います。
ただし高初速を狙った硬めなフェースと、ディープアンダーカットキャビティという構造を考えればこの打感は当然で、同様の構造のアイアンの中では大いに健闘しています。
打音は弾き感のあるパシンッという音で、打感同様に弾き感があります。
いずれも純フォージドとは違いますが、他メーカーの同種のアイアンにあるような安っぽさは無く、この点はタイトリストのこだわりが現れています。
●シャフト
今回の試打クラブは純正で用意されているN.S.PRO 950GHが刺さっており、しっかりボディターンで打てる、あるいは打つ練習をされている方なら、ヘッドスピード40〜42m/sでも十分にマッチするシャフトになっています。
一方でヘッドスピードが35m/s近辺の方には、同じく純正のオリジナルカーボン、タイトリストVGi60が対象となるでしょう。
ただ残念なのがヘッドスピード35〜40m/s向けと言える70〜80gのスチールシャフトが一般化する前のモデルのため、その間を埋めるシャフトが純正では抜けている点です。
その辺りをお探しの方は、未試打ですが後継2016年モデルのVG3 TYPE-Dで用意されている、N.S.PRO ZELOS 8を検討してみても良いでしょう。
●総評
非常に高弾道でしかも初速が早く、飛距離アップが期待出来るアイアンです。
また他社の同ターゲット向けのアイアンにありがちな、強いグースがなく構えやすい点が個人的には好印象でした。
さらに芯が特に下目に広いため、トップ気味のミスでスコアを崩している方をきっとフォローしてくれるはず。
目立たちませんが、上がってみたらスコアがいつもより良かった、振り返ってみるとトップのミスが無かったな、という内助の功の典型のようなアイアンです。
一発の飛びよりも着実なスコアアップを、というゴルフの本質を知るゴルファーの方にぜひお勧めのアイアンです。
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タイトリスト VG3アイアン TYPE-E 2014