ロングアイアンで番手ごとの飛距離差が出ない方にはぜひためして頂きたいアイアンです。
高い操作性の中にツボをついた優しさを隠し持つ、特に一般的なヘッドスピードの上級者の方にお勧めのモデルになっています。
試打クラブ スペック
ロフト:33°(7番) シャフト:N.S.PRO Modus3 Tour 105S
重量:410g(5番 推定値) 長さ:37inch(7番 カタログ値)
●構えてみると
同シリーズのP730とP790の中間に位置するオーダー専用モデルで、構えるとヘッドが非常にコンパクトでシャープな印象です。
ツアーモデルとしては標準的なサイズだと思いますが、最近の簡単系アスリートモデルに慣れてしまっていると小さく感じます。
ネックはわずかにグースが入っているようにも見えますが、ほぼストレートと言って良いでしょう。
普段からアスリートモデルに慣れ親しんだ方にはとても構えやすく、操作性の高さを期待させてくれて、しかも程よい緊張感も持ったルックスです。
●打ってみると
打ってみると弾道は高めで反応もシビア過ぎず、寛容性があるのが意外でした。
球の高さは高め中弾道で、私のヘッドスピード40m/sとシャフトを考えると素直な高さです。
最近の高弾道のモデルに比べるとだいぶ大人しく感じますが、アスリートモデルとしては平均的な弾道でしょう。
特に高低のブレにはツアーモデルにしては優しく、プロでも寛容性のあるクラブを使う最近の傾向を感じます。
一方で左右の操作性は非常に高く、コントロールする腕のある方なら思いのままに曲げることができるでしょう。
ただ言い換えれば打ったなりの球が出るので、ちょっと気を抜くと左右どちらへもそのまま飛んで行ってしまうため、中級者の方はしっかり打ち込んでから実戦に臨んだ方が良いと思います。
●飛距離性能とスピン
このアイアンで印象的だったのはその飛距離性能とスピンです。
特に7番より上は中空構造ということもあり、ツアーモデルにしては飛距離が出ます。
私が普段使っているAP2 712よりロフトが1度立っているとは言え、半番手以上飛んでいる印象です。
それでいてスピンが適度に入る点が、ツアーモデルあるいは上級者向けとして非常に好感が持てます。
最近のセミアスリート周辺の飛距離を追求したクラブでは、HS40m/sだと高さが出ずスピンも少ないので、グリーンに止めにくく実戦では使いずらいのが正直なところ。
しかしこのP760は適度なスピンを確保しつつ、HS40m/sでは番手間の飛距離差が生まれにくい上の番手で、程よく飛距離アップしているのが素晴らしいです。
「人より飛ばす」を目的としていないので飛びすぎることもなく、安心して距離を刻むことができます。
また前述の通り上下のズレに対しての優しさがあるため、距離の安定感も非常に高いと言えます。
●打感と音
中空となっている7番を試打しましたが、言われなければ全くわからないほど打感は柔らかく好感触で、テーラーメイドの技術の高さを感じます。
もちろんマッスルバックほどではありませんが、中空ということで敬遠している方はぜひ打ってみて欲しい打感です。
打音は大人しめな中音で、飛距離が出るわりに違和感のある弾き音はありません。
残念ながら純フォージドのようなシャッター音ではありませんが、複合素材のフォージドですから仕方のないことでしょう。
決して耳につくような異音ではないので、特別に打音にこだわりのある方以外は抵抗なく受け入れられると思います。
●シャフト
試打クラブのシャフトN.S.PRO Modus3 Tour 105Sは、HS40m/sだと硬さ重さともにしっかりめですが、体力のある方なら十分に扱える許容性を持っています。
しかもきちんと振り切れるようなら、より軽量なN.S.PRO 950GHと比べ弾道が安定すると考えられます。
特にこのアイアンは左右の方向性がシビアなので、ある程度重量を感じながら振れるシャフトの方がスコアに繋がるでしょう。
ただオートマチックにボールを上げてくれるクラブではないので、普段弾道が低めの方は950がお勧めです。
またラウンド後半の疲れが出てきた状態では105の重量を振り切れないという方も、950を選んでおいた方が安全でしょう。
●総評
ルックスは硬派なツアーモデルですが7番から上は中空構造になっており、しっかり距離を刻めてばらつきも抑えた、実戦で優しいクラブになっています。
十分な操作性と中空らしからぬ柔らかい打感で、こだわりのある上級者の方もきっと満足できるでしょう。
ユーティリティーが苦手で5番や4番などのロングアイアンを積極的に使いたいが、HS40m/sなので十分にボールが上がりきらず飛距離差が生まれない、とお悩みの方にドンピシャのモデルです。
また方向性が安定してきた中級者の方が、ステップアップのために操作性やスピンを安定して入れる練習を、ラウンドで行うために使うのも良いでしょう。
安易に使えるアイアンではありませんが決してハイレベルの上級者限定ではなく、間口の広い実戦で生きる優しさを持ったアスリートアイアンと言えます。
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